一昨日の早朝。といっても7時半くらいだったと思うけど、部屋のドアをノックする音で目が覚めました。私は寝起きがとっても良い方なのですぐに返事をすると、母親がドアを開けて。そして「えいじおじさんが亡くなったので出かける、なんかあったら電話する。」とだけ告げて去っていきました。
えいじおじさんは、私の母の兄にあたる人で、超魔界村の7面のボスに似ていました。親戚が亡くなった話で、いきなり魔界村とか言い出して不謹慎だと思われるかもしれないが、似てると感じていたのだからしかたがないのです。超魔界村を知らない人は、要するに顔が怖い、とだけ思っていただければ大丈夫。まあ、それも昔の話で、最近はだいぶやわらかい顔つきになっていたし、超魔界村は中学生くらいの時に思っていたことなので本当に似ていたのかは不明です。
酔うと「シェイクハンドプリーズ」と言ってきて、しかたなく握手をすると、あの年代のおっさん特有のやけに強い握力で思い切り握ってくるので、手が痛かった。帰る時には「シーユーアゲイン」と言って去っていった。ということが思い出に残っているのだけど、今にして思えば、何故英語だったのか。
子供の頃は怖がっていました。いや、大人になってからも怖かったかもしれない。やけに迫力のある人だったのです。でも、妹や弟から「えいじくん」と呼ばれていたし、我々甥っ子や姪っ子たちの一部も、そう呼んでいたので、英語の件と合わせて良く考えたら、全然怖くない愉快な人だったような気もしてきます。
若い頃は池袋あたりをよく飲み歩いていたらしくて、いろんな良い店を知ってる、とのことでした。「大人になったら教えてやる。」みたいなことを言われており、実際大人になってしばらくたって、そろそろ教えてもらおうかな、なんて思っていた頃のこと。当時、就職したばかりだった私の妹が、仕事帰りに偶然その伯父に池袋で会って。伯父は、池袋に詳しいと自称するだけあって、妹を飲みに連れて行ってくれたらしい。これは美味しいつまみと酒にありつけるぞ、という予感でワクワクしながら妹はついていったわけだけれども、連れて行かれた店は会員制のバーのようなところで、しかも、女性の店員が全員バニーガールだったそうです。
なんでだよ!美味いもんとか食べさせてやれよ!まだ20代前半だっただろ!なにより、姪っ子連れてく店じゃねえだろそれ!、と、話を聞いた時に心の中でつっこんだのだけど、同時に「えいじおじさんが知ってる良い店は、俺の生活レベルで行けるような店ではない」と察知したので、その後、池袋のおすすめの店を教えてもらうことはありませんでした。だいぶ時が経った今の俺の生活レベルでもたぶん行けない(というか、むしろ当時より貧乏)のだけど、一応教えてもらっておけばよかったかなあ、と、思ったりもしています。
まあ、そんな伯父が亡くなりまして、もちろん悲しいんだけど、私は親戚たちが好きなので数日以内に親戚大集合の飲み会があるぜ、とも、ついつい思ってしまいます。伯父は、毎年、親戚が集まる新年会に、身体を壊した以降は、おそらく無理をしてやってきていました。長男としての責任感みたいのもあっただろうけど、たぶん、そういう飲み会が大好きだったんじゃないかと思うので、まあ、私がこんな感じなのも許してくれるでしょう。
想定していたよりも、しんみりした内容になってしまった。バニーガールの件を書き残しておきたかっただけなんだけど。